Q11.

夫婦トラブル解決のための法律Q&A

Q.11 「離婚後の子供の面会はどうすればいいでしょうか?」

今回の回答は、妻側が子供を引き取ったが元夫が面会を求めてきている案件についてです。
当事務所は探偵社ですので、夫の浮気で悩む女性の相談を多く受ける性格上、そういった女性への解説となります。一般的な面会交流の解説とは多少視点が異なる面がありますが、男性の方は自分に置き換えてお読みください。

さて、子供との面会のことを「面会交流」といいます。

面接交渉権と言われることはありますが、実際はそのような権利は民法にも規定はありません。法律実務上、権利が認められていますが、明文化されているわけではないのです。しかも、この権利は日本では、子供側の権利であると解釈される面もあり、非監護親(実際に育てていない方の親)が強引に子供に面会する権利ではありません。

多くの相談事例から、この問題は様々な問題を含んでいまして、夫婦(元夫婦)の事情や子供との関係をしっかり見極めてからでないと正しいアドバイスはしにくいこともあります。

普通に離婚した場合は、比較的面会交流の阻害となる要因は少ないのですが、実は夫婦の離婚の多くに不倫の事実がからむことも多いので、夫婦間で離婚後も恨みが残り、女性側としてみれば「浮気の挙句、慰謝料も払わずに離婚した夫が、いまさら面会を求めてきても会わせたくない!」と反発するのも仕方ないかと思います。そして、浮気と同じく面交トラブルとなるのが、元夫によるDVやモラハラ行為があったケースです。

そして、自身の浮気によって離婚した女性も、子供に会わせないという嫌がらせを夫にする傾向にありますが(この層がでっちあげDVなどを主張するケースも多い)、適正な養育費の支払いがあるケースでは面交が継続できることも多いものです。

夫婦関係がモメていることを知っている子供も気を使って言い出しませんが、本当は実の親に会いたいものなのです。そういう子供の気持ちを無視してまで、自分のわだかまりを通そうとすれば、家族のバランスは崩れる可能性もありますし、やはり子供のためにはなっていません。腹が立つのはよく理解できますが、お子さんのためにも非監護親に面会させましょう。

子どもが離婚後も両方の親に愛されているという実感を持つことは、子どもの精神状態にも良い影響を与えると思います。離婚しても、いつまでも両親であることに変わりはないのですから(もちろん、虐待などがあり、子どもが嫌がっているケースでは面会交流は適切ではありません)。


面会交流を実行するには、元夫婦で決めなければいけないことがあります。

それは、面会交流の頻度(回数、時間、面会場所、受け渡し方法、同席か少しの時間あずけるのか、宿泊の可否)を具体的に決めることと、お互いの生活の詮索をしない、お互いの悪口を吹き込まないという子供への配慮の約束と、子供へのプレゼントなどの内容について最低限決めなければ面会交流を始めてはいけません。

よくあるのは、子供にいい顔をしたいばかりに元夫が子供に欲しいものを何でも買ってあげたりすることです。小さい子供であれば、愛情よりもプレゼントに釣られることもありますので、ここはきちんと父親に分別を付けてもらわなければ、帰宅後の子供の態度に問題行動が出ることもあります。そこを合意の元であれば、面会交流は最低限は認めてあげましょう。

浮気をして離婚するような父親は、子供には残念な話ですが毎月のように会わせてくれと主張する人はめったにいません。最初は会いに来ても次第に間隔が空いて回数も減りますし、子供を含めて周囲も落ち着きますので、大きな問題になることはありません。

しかし、面会交流の条件に、養育費の支払いを挙げる女性も多いのもまた事実です。

親の責任として、父親にそれを求めることくらいは許容範囲かと思います。もしも、離婚後に養育費の支払いもせずに、強行に面会交流を求めてくる父親には、一旦は拒否をして、相手方に家裁で「面会交流の調停」を起こしてもらうことしかないでしょう。しかし、そうなるとあなた自身も月1回の調停に行かなければならないし、面倒かと思います。

調停をしなければもらえたかどうかわからない養育費を月2万円でも貰って、ある程度の条件で合意することも時として有効なのです。調停に時間を割けるようであれば、半年かかってもしっかり希望を通すことも必要ですね。

結局のところ、元夫側の人格しだいということだと思います。その父親が自分とは性格が合わなかったとしても子どもの親として問題のない親であるのならば、冷静に考えてみて子供のためになると判断できれば、たまには子供の面会をさせてあげた方がのちのちに子供のためにもなるのではないかと思います。

ただ、再婚の問題や、相手方の出方によれば、面会交流は逆に子供の負担になることもありますので、子供の本心を慎重に判断してあげてください。どうせ、子供に会わせろだなんだという夫の多くも、面会交流が決まってから1年も経てば、会わせろとはほとんど言ってこなくなります。数回会えば満足してしまうようです。ですから、あえて交渉条件的に面会交流は認めてあげて、しっかり養育費をもらってください。

気をつけなければならないのは、モラハラ夫やDV夫は、離婚後も嫌がらせのために面会交流を求めて執拗に調停などを起こす事例もとても多いです。
離婚まで子供の面倒を見てこなかったはずのモラ夫ほど自宅に押しかけたりと執拗に迫る傾向もあるので、そういうケースに備えて、離婚前からDVなどの相談は警察にきちんとしておきましょう。

モラハラ夫が元妻への執着心で面会交流を求めて来るケースもたくさんあります。
離婚理由がモラハラやDVの場合、当事者同士で連絡を取り合って面会交流をするというのは無理です!
その場合は、全国各地に「面会交流支援団体」がありますので、支援団体に間に入ってもらい、自分が直接連絡や面会をしなくても良い状態を作りましょう。

母親が、日々子供に父親の悪口を言ったりすれば、子供も母親の顔色を見るようになり、母親に気を使って「父親に会いたくない」と言うかもしれませんが、それはお子さんに精神的な負担をかけているだけであり、優しい母親のすることではありません。つねに客観性も持ち、子供のためになることとは何かを考えてあげてください。

元夫の方は腹が立つこともしてきますので、なかなか冷静になれないかとも思いますけど、子供の心身の健やかな成育のために何をしてあげられるのかという視点を忘れずに葛藤のある元夫婦同士でも冷静に対応していくことが重要です。


なお、2013年より、調停や審判で面会交流の取決めをしっかり行ったのに、面会交流を拒否する母親に対しては「間接強制ができる」との最高裁判決が確定しています。
個人的な感情で拒否をすれば、「1回の拒否につき何万円」という金銭の支払いのペナルティーが出ます。
監護親の方が面会交流をのちのち拒否するのではないかと思われるケースでは、この間接強制の実行のために、調停や審判にて必ず具体的に条件を決めておいてください。
例えば、上記にもありましたが「面会の頻度(月1回など)」、「時間」、「待ち合わせ場所」、「事前の連絡方法」、「当日都合が悪くなった場合の代替方法(来週に延期など)」、「宿泊の可否」、「プレゼントの条項」などを具体的に取り決めてあるケースだけが間接強制を実行できます。

どちらの側であっても、取決めをしっかりと行い、約束を順守するようにしましょう。
それが必ず子どもの将来のためになります。

当社関連ページ

1・親権について

2・親権者変更について

3・子供の連れ去り・子供の引渡しについて

 

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