Q12.離婚後の名字について

夫婦トラブル解決のための法律Q&A

Q.12 「離婚後の子供の名字はどうなりますか?」

これはそれぞれの事情と言いますか、子供を引き取る側の都合によって決めて良いことです。
夫婦が結婚をすれば、ほとんどのケースで女性が旧姓から夫の名字に替わるかと思います。離婚した際に、この女性はお子さんとの関係から様々な選択肢を持ちます。

1つ目は、子供と共に自分の旧姓に戻ることです(旧姓での母子の新戸籍を作成…子供と同じ戸籍に)。

2つ目は、自分は旧姓に戻るが、子供だけは元夫の名字を名乗ることも可能です(自分は旧姓での新戸籍。子供は前のままの従前戸籍に…つまり正確には子供とは戸籍が異なる結果になるが、夫の親権などの管理下に入るわけではなく、あくまで役所の書類上の問題であって、あまり不都合はない)。

3つ目は、母子共にそのまま元夫の名字を名乗ることもできます。これには家裁への申請が必要になりますが、書類を提出すればいいだけですので、面倒はありません。

離婚成立後3ヶ月以内に、その「離婚の際に称していた氏を称する届」を市町村の役所に提出することで成立です(母親が新戸籍で元夫の名字を名乗る手続きをする)。元夫の許可も必要ありません。

母親が旧姓で、子供が元夫の名字ということもできるわけですが(子供は従前戸籍に一人記載、母親は新戸籍)、それでは生活上不便なことも多いかと思いますので、お子さんが中学生以上でなければ、母親に合わせるかと思います。

思春期以上のお子さんであれば、名字が変わることに抵抗感があるお子さんもいますので、その時はその意見も尊重してあげましょう。名字や戸籍が同じ方が家族の一体感も増すかもしれませんが、名字で子供との愛情が計れるわけではありませんからね。それでも、やはり親子が同じ名字の方が都合がいいでしょうから、お子さんに理解してもらうことが必要でしょう。

浮気の事実があって離婚するケースでは、相手方の名字を名乗ることに抵抗があることも多いですから、難しい問題に直面される方もいらっしゃるかと思いますが、結局は思い切りが必要ですので、しっかり先のことを考えて選択しましょう。一旦は夫の名字を名乗っておいて、そのうち旧姓に戻るという選択でもいいわけです。3ヶ月を過ぎていても、家裁の許可を得られれば、旧姓に戻ることも、一旦は旧姓に戻っていても元夫の名字に戻すこともできます(この場合は、あくまでそうしなければならない理由が必要なので、めったにない例)。

離婚後3ヶ月は悩む時間が与えられますが、そもそもほとんどの皆さんは離婚するときにすでに決めているでしょうから、余計な説明だったかもしれませんね。

そして一点気をつけなければならないのは、旧姓には一段階しかさかのぼれないという点です。

どういうことか解説しますね。

まず未婚女性「山田A子」さんがいます。A子さんが、佐藤さんという男性と結婚し、「佐藤A子」さんになります。
残念ながらA子さんは夫の借金が原因で離婚することになり、小学生の子供がいるために名字を変えたくないと夫の姓を名乗ることにした場合、そのまま「佐藤A子」さんです。
A子さんは数年後に再婚することになり、元夫の名字を捨てて、新しい夫の鈴木さんの名字を名乗ることにして再婚し、「鈴木A子」さんになります。
ところが、残念ながらA子さんは鈴木さんの浮気が原因でまた離婚することにします(バツ2)。
もう結婚はこりごりということで心機一転、元々の姓であった「山田」に戻ろうとして、市役所に行きます。

ところが!

旧姓には一段階しかさかのぼれないという原則があり、現在「鈴木A子」さんは、旧姓「佐藤」にしかさかのぼれません。元々の名字である「山田」へは2段階さかのぼる必要があるので、それはできないのです。
特別な事情があるケースに関しては家裁への届出を行い、審判などにて姓・名の変更も可能ですが、これには変更しなければならない特別な理由が必要になります。

二度離婚するかどうかはわかりませんが、こういったリスクもあるので、離婚の際の名字については慎重に考えて決定してください。基本的には子供のことを考慮して決定される方も多いようですので、自分がというよりは子供が良ければということでの選択でよろしいかと思いますが。

名字の決定方法など大まかにはわかっていただけたかと思いますが、わからないことがあれば、役所でご相談ください。窓口の担当者がきちんと説明してくれます。

 

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