Q7.浮気の時効について

夫婦トラブル解決のための法律Q&A

Q.07 「浮気の時効が3年って本当ですか?」

不倫の慰謝料は、いわゆる損害賠償請求になりますから、不法行為の賠償請求の時効は3年になります。

つまり、離婚時に夫と浮気相手の不倫の事実を知らずに離婚してしまったとしても、その事実相手方を知った時(時効の起算点)から、3年は消滅時効にかかりませんので、請求が可能です。

しかし、単に時効は3年ということでもありません。それぞれの状況により、時効の解釈は変わります。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)…民法第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」

「時効の起算点の解釈」

浮気の事実を知った時から…のみが時効の起算点になると、そういった不貞行為が要因となって3年以上経ってから離婚するケースの場合は慰謝料請求の根拠を失ってしまうことになります。それでは納得がいきません。
ということで、上記民法724条を基にした以下の最高裁判例が存在します。

「不法行為により損害を受けたことを認識した時点で足り、具体的な損害額を認識した時点であることを要さないと解されている(最判平成14年1月29日)」

「加害者の住所氏名を的確に知り、損害賠償請求が事実上可能になった時点であると解されている(最判昭和48年11月16日)」

浮気の事実を知った時からだけではなく、損害を知った時、相手方が誰であるかを知った時から時効が始まります。
そして、夫婦の債務は、離婚6ヵ月後までその権利を失わないということになっています。

(夫婦間の権利の時効の停止) …民法第159条  夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」

離婚後3年ということは関係なく、その事実と相手方を知ったときから3年有効ですので、まだこれから準備期間を設けて請求することができます。
浮気が3年以上前のものでも、最近もしくは現在も浮気が継続しているのであれば、時効は成立していません。

消滅時効は3年ですが、不法行為に対する除斥期間は20年間ですので、事実を知らずに19年経ってからその証拠が出てきた場合にはそこから請求も可能なのです。
しかし、19年も経っていれば消滅時効3年は適用されませんので、22年に延びることはありません。あくまで20年以内です。

ただ、時効の中断という方法も残されていまして、消滅時効3年の間に「相手方に請求(6ヶ月以内に訴訟提起等をしなければ、時効中断の効力を生じない)」、「差し押さえ、差し押さえの仮処分申請」、「相手方の承認」があれば、時効を3年以上に延ばすことも可能です。

刑事事件では、犯罪加害者が海外に逃亡していた際は、海外渡航日数分の時効が停止されて、帰国の際に逮捕されたりする件もあることは、サスペンスドラマなどで知っている方もいらっしゃるかと思いますが、残念ながら民事ではそのまま適用されません。裁判時に海外渡航の際の時効の中断要件を主張しなければなりませんし、それが認められるどうかもそれぞれの案件によって違い、難しいです。

一つ気になるのは、いくら浮気の事実を知ったからといって、証拠がなければ損害賠償請求(慰謝料請求)の訴訟を起こしても、勝訴できるかどうかは微妙です。証拠の提出以外に、損害の立証も必要になるのでハードルは高いかと思います。

離婚後にその浮気の事実によって損害があったということはないでしょうし、主張するとすれば、「夫に離婚を迫られたのは、愛人の存在があったということが判明し、離婚という不利益を被った。その事実の判明により、現在精神的に体調を崩し、精神科に通院中である」という攻め方になるかと思います。
その浮気の事実も、本人の証言があったり、知人が不倫の事実を示す写真などを提供してくれた場合など、証拠の準備は「噂で聞いたレベル」では難しいことも知ってください。

ですので、離婚するも、しないでも、怪しいことがあれば、いざという時のために証拠を取っておくということが重要になります。消滅時効は3年ですが、その3年の間に考えて、その証拠を行使するかどうかをじっくり決めてもいいでしょうし、そのままなかったことにでもできるわけです。証拠がいかに重要かを知っていただきたいと思います。

ところが、当事務所では裏技を持っていまして、婚姻中に取った証拠を3年の時効にかからずに、20年延長させることができるケースもあります。つまり、念のために証拠を取っておけば、3年ではなく、20年間その権利を行使させる技が存在しています。

他の探偵社ではありえない技をいくつ持っているかで、探偵事務所の本当の力というものがわかるかと思います(正確には、本当の力は証拠を確実に取る調査能力が一番大事なのですが)。当事務所は不法行為の被害にあっている女性たちのために、本気で取り組んでいますので、安心してご依頼いただきたいと思っています。