子供を取り戻す「子の引渡し審判」と保全処分申立て解説
夫婦トラブル解決のための法律Q&A
子供を取り戻す方法があります!
Q.13 「離婚協議中に配偶者が無理やり子供を連れ去りました…」
「子の引渡しの審判」と「保全処分(審判前の保全処分・仮処分)」、「監護者指定の審判」の申し立ての流れ
→かなり長文ですが、最後まで読むと、申し立ての流れがかなりつかめるかと思います。
なお、この問題に対する個別の相談には応じていません。(最終更新:2023年8月3日)
「子の引き渡し問題」を全国に広めたWEBサイトがこちらです。ご訪問ありがとうございます。
11年くらい前はまだほとんどの弁護士も、当の家裁職員すらこの申し立てについて理解ができていませんでした。一般の人が簡単に申し立てられるようになったのは、このサイトが公開された2008年頃からゆっくり徐々にです。
家裁も弁護士さんたちも徐々に把握し、2012年頃からようやくポピュラーなものとなった感があります。
このページは当事者である男女によって適宜更新しています。
離婚協議中、もしくは離婚話が出た直後、浮気をしていたり、モラハラだった夫が子どもを連れて実家に逃げて、悪質な離婚交渉をしてくるケースが続発しています。
それから、妻が浮気の挙句、子供を連れて浮気相手の男性のところに逃亡するケースもあります。
定職に就かないモラハラ夫が子どもを人質にして離婚(したくない)交渉に利用してくるケースもあります。
これは、「子の福祉」の考えに反した悪質な行為に他なりませんが、この状態を長く続けることはあなたにとっても不利益があります。すぐに行動に移してください。
子の福祉という重要な概念から逸脱した行為だったとしても、その状況を放っておき、子供の生活がそれで安定してしまえば、逆に子供の視点から見れば特に問題がないとして、連れ去った側に監護権や親権が定められる恐れがあります。
男性の場合の申し立ては妻に明確な落ち度がないと、逆に妻側に監護者が定められることになりますが、妻よりも子育てをしっかりできるという男性の場合は性別に関わらず申し立てが認められるケースも普通にあります。
ところが実際には「自分に反抗して家を出て行った妻が憎い。報復だ」という感情で申し立てをする男性が続出し、家裁も辟易としています。自分が妻よりも本当に育児ができるのか、など冷静に考えてみてください。
ただし、夫のモラハラやDVから逃れるために子連れで家を出た妻などのケースは「連れ去り」とは言えません。正当な「避難」となります。モラ夫がこれを連れ去りと言って、報復的に申し立てるケースが多数あります。
連れ去りを行う夫は、ほぼ全員がモラハラ夫(モラルハラスメント=精神的DV)ですので、そういう相手は話し合いでの対応はほとんど不可能です。あなたがやられて一番困ることをあえてやっている嫌がらせ行為ですから、法律の手でしっかり対処していきましょう。逆に浮気をしている妻が子供を連れて逃亡するケースもあります。然るべき措置を取り、子供を取り戻す努力をしましょう。その方法があるのです!
女性で、逆に自分がモラ夫に申し立てられてしまった、という方は心配いらないです。監護権や親権は給料が多い方が得るものではありません。監護(育児)ができる側が得るものです。
子供を取り戻す方法とは?
では、子供をどうやって取り戻すかですが、これは大至急、「子の引渡しの審判」を家裁に申し立てて、家裁の判断を仰ぐことです。子の引渡しの「調停」ではありません!
そして、必ず同時に「審判前の保全処分(子の引渡し仮処分)」も申し立てるのです。
それと同時に「子の監護者の指定の審判」も申し立てましょう。
まずは「子の引き渡しの審判(本案)」の申し立てにより、連れ去った子どもを引き渡すように要求しておいて、実質「審判前の仮処分(保全処分)」により、審判決定前(実質、審判決定時)に子どもをまず自分に返すようにしてもらいます(本案のみ認められるケースもあります)。
そして、場合によっては、同時に申し立てていた「監護者指定」だけが認められることもありますので、取りこぼしのないようにこの3つを申し立ててください(基本的にこの3つが同時に認められるということはなく、「審判(本案)」のみ、「保全処分」のみ、そして「両方」のいづれかの決定が出ます)。
子の引渡しを求めるということは、共同親権者であった夫婦が、事実上「単独の監護者」となるために申し立てるわけです。監護者になるために子の引き渡しを要求するのですから、この3つの申し立てがセットになるのです。
※【なお、2013年1月より「家事事件手続法」が制定され、「子の引渡しの調停」や「離婚調停」時に、子の監護に関する処分(引渡し)の保全処分も申し立てることが可能になっています。その影響で、審判で申し立てをしても家裁に付調停とされることもありますので、その場合は従うことになります。但し、離婚調停と共に子の引き渡しを求めるのは都合がよすぎるということで馴染まない場合も多いことには変わりない状況です。子の監護に関してを優先的に決める方が良いことが多いです。相応の理由があるケースでは(配偶者の暴力など明確なもの)、離婚調停と同時でも構わないと思います。
連れ去りや子の監護状況について緊急性があまり感じられないケースでは蓋然性に欠け、審判がなじまないケースもありますので、その場合は調停を選択するということもあります】。
審判の申し立てにより、家裁から1週間以内に連絡があり、2~4週間後には審問が開始されます。児童心理学などの勉強をしてきた家裁調査官が主体となり、双方の言い分を聞いたり、家庭訪問して養育状況を確認していきます。
家裁調査官(担当は1~2人)は的確に状況を判断していきますので、あせらずにお任せしてください(ただし、調査官の質の差はとても大きいです。ハズレの調査官と裁判官に当たったらどうにもならないということを覚悟もしておいてください。子供の気持ちや真実を理解しようともしない恣意的な調査官と裁判官に当たると女性でもひどい目に遭います…)。
モラハラ夫から「子の引渡し」を申し立てられた女性はどうすればいいのか?
近年、モラハラ・DV夫から逃れるために子連れで実家に避難した妻が、「子の引渡し」をモラ夫から報復で申し立てられるケースも増えました。
モラ夫の集団が自分のモラハラを認めず、モラ夫から逃げた妻や女性たちを「連れ去り犯」と呼び誹謗中傷し、誘拐犯として警察に告訴するケースもあります。
そういったモラ夫とのトラブルが発生している女性も不安に思わず、しっかり対処していきましょう。
「子の引渡し」を理解している弁護士にすぐに依頼をするのが一番良い方法ですが、そういった先生は少ないので、見つかるまで5人でも10人でも相談に行ってください。子の引渡しという手法を知っていても、実際に上手に対応できる先生はさらに少ないです。ものすごく少ないです。慎重に話を聞いてください。
ただし、子の引渡しは弁護士が必要ではありますが、決め手になるというわけでもありません。自分自身がどのように子育てをしていきたいのか、だけが問われているようなものですので、自分しだいなんです。
モラハラ夫に負けないあなたの子どもに対する気持ちが家裁に伝われば、それでいいんです。このページは申し立てる側だけが読むページではありません。モラハラ夫に申し立てられた側、いわばモラハラ被害者側にも意味があるように書いているつもりです。長いですが、全部目を通していただきたいと思います。
●申し立て費用(子1人につき)●
「子の引き渡しの家事審判」…収入印紙1.200円と予納切手約800円分と戸籍謄本各1通
「子の引き渡しの保全処分」…収入印紙1.000円と予納切手数百円分(切手は家裁による)
「監護者指定の家事審判」…収入印紙1.200円と予納切手数百円分
なお、「子の引き渡しの調停」というものもありますが、連れ去りが起きた時は調停から話し合っても時間のムダですので、審判を申し立ててください!ただし、保全処分だけを申し立てるということはできません。保全処分は必ず審判と一緒に申し立ててください。この「保全処分」の決定をもらうことが最も重要なのです(本案のみでも大丈夫ですが保全処分の方がのちの直接強制がやりやすい)。
※再度申しますが、2013年以降「家事事件手続法」の制定により、離婚調停などと一緒に「子の引渡しの保全処分」も申し立てることが可能になっています。しかし、連れ去られた場合は離婚調停とは一緒にせずに、まずは子の監護のみを争いましょう。
子の引渡しの調停申立書はこちら(裁判所の公式用紙)。
子の引き渡しの審判、もしくは調停を申し立てる際に提出する家裁からもらう申立書の複写は相手方に送付されますので、あまり過激な内容を記述しない方が良いかと思います。ご注意ください。
家裁の書式に従ってシンプルに短文でまとめましょう。ただし、保全処分の申し立て書の方は自作の必要があり、かつ内容も細かく記述することになります。
審判はあなた一人でも充分対応できますが、しっかり子供を取り戻したいのであれば弁護士さんを依頼した方が良いでしょう。
ただし、その弁護士さんも、必ず上記の方法をしっかり理解されている先生に依頼してください(申し立てを知っているだけでは意味がありません。その先生の戦術と意欲が伴わなければ)。弁護士の8割ほどは全く役に立ちません。自分に合う弁護士を見つけるまで相談を繰り返していくしかありません。
「まずは内容証明の発送しましょう」とか「すぐに離婚調停を申し立てましょう」、「引渡しの審判や保全処分は難しい」、「子どもをすぐに取り返してきなさい」という先生は、親権・監護問題を全く理解されていません。良い弁護士さんが見つからなければご自分で対応しても構いませんので、不安に思わなくてもいいです。
子の引き渡しに関する審判や保全処分という手法を本質的に理解されていない先生の方が多いようですので、親権に全く理解のない先生に中途半端に依頼するならご自分で対応をした方が良いと思われます。以前の当事務所への相談者さんも3割くらいの方がご自分で対応されています。
家裁に行けば、審判の申し立て書をもらえますし、家裁によっては保全処分の申立書の雛形を見せてくれる親切な事務官さん・書記官さんもいらっしゃいますので(残念ながらあまり多くはありませんが)、まずはすぐに家裁へ!
もし、調停から申し立てた場合でも、調停での指定に相手方が納得しない場合や合意できなければ、申し立て者の希望と家裁の判断により、審判に移行できます。
審判は裁判の判決のように審判決定が言い渡されるもので、裁判官(家事審判官)がどちらの親が監護者や親権者としてふさわしいかを判断します。しかし、これは一般的な親権争いでの調停・審判のケースですから、連れ去りがあった場合は調停からやっていてはダメです。
審判で、あなたに子の引渡し保全処分が認められた場合は、当日すぐに裁判所で執行手続きを取りましょう(決定が出る前に裁判官が出してくれる雰囲気をつかんだら事前に執行官に執行方法についての相談をしましょう。そして決定後、最終打ち合わせを行いましょう)。
保全決定から2週間後までは相手方は高裁への抗告を行う権利がありますので即時抗告してくるか、そのまま抗告せずに無視することになるはずです。2週間後が確定日だからとただ待っていてはいけません。
保全処分決定当日、相手方(もしくは代理人弁護士)に引き渡しの交渉連絡をし(事実上の「履行勧告」)、もし引き渡しを拒否をされた場合は間接強制(事実上の履行勧告を間接扱いにして直接強制を申し立てるケースも多々あります。現実は教科書通りではありません)、もしくはすぐに直接強制の申し立てが可能になります(現在、直接執行官への手続きはできず、裁判所へ直接強制の申し立てが必要となります)。
実際の運用としてもそうでしたが、令和2年の改正執行法に基づき、間接強制は必ずしも必要とはしていません。なお、子を占有している親の同席も必要ありません。そして、引渡しをお願いしている親が執行の現場に一緒に立ち会うこともできるようになっています。
言葉がきついかもしれませんが、「配偶者への怒り」では真に子どものためには戦えないですし、「男性であれ女性であれ、相手方の性別全体を敵認定」していては本末転倒ですし、「自分の至らない部分を見つめること」も必要だと思います(SNSなどで女性側を罵倒している夫・元夫もいますが、そのような態度では勝てるはずもありません。自分の暴力性を宣言しているだけです)。
相手が本当に望んでいたことは何なのか、何が足りなかったのか、もちろん自分が悪いだけでなく、相手方にも落ち度はあります。一方的に落ち度のあるケース、お互い様なケース、人それぞれですが、お互いに何が足りなかったかを考える場にできたら、審判も本当の意味があるのかもしれません。
夫婦に何かが足りなかったから、子どもで「もめる」ということになっていることが多いのではないかと思います。いえ、子どもを媒介に夫婦が争ってるだけですよね?
子供のために冷静に、できることをしていくこと。そこを双方が考えられたらいいのですが…。相手方を非難していれば解決できるわけではありませんから。
でも、この争いが子どものためになると信じる方は、本当にしっかり最後まで戦うことなんだと思います。
子の引き渡し請求と離婚は絶対に分けて考えること
もし、離婚調停中や円満調停中であれば、そのまま協議をすることよりも、上記の審判を先に申し立ててください。相手方が協議に応じてくれそうな状況では「子の引き渡しの調停」から始めることも基本ですが、連れ去られている以上、審判の申し立てが必要になるはずです。
この「子の引き渡し審判」は、離婚調停と同時に進めることはお勧めできません。離婚調停は一旦ストップして、子供のことだけを争わなければなりませんので注意!弁護士さんが同時にやろうと言うケースもありますが、できるだけ子の引き渡しだけを争ってください。多くの家裁はその方が望ましいということを理解しています。
子の引き渡しの審判と保全処分を実行するときに、離婚調停や離婚訴訟を同時にやるのは得策ではありません。離婚問題とは切り離して、まず子どもを取り戻すことだけに集中しましょう。そうなれば、審判決定も出やすくなる傾向にあります(これもケースバイケースですが)。一般調停(離婚)と、乙類調停(子の引き渡し)の性格の違いもありますので、子の引き渡し審判と保全だけを揃えた方がスムーズなことが圧倒的に多いです。
子供を取り戻したら、夫婦間でしっかり離婚の協議をしましょう。
離婚問題は家裁にとっても難しく、子どもの引き渡しと同時には認められにくいものです。離婚調停と同時にやる人は「愚か」としか言いようがありません。それほど重要です。
あなたは離婚がしたいのですか?それとも子供を取り戻したいのですか?どちらが大事ですか?答えは明白だと思います。
直接強制と間接強制とは
保全処分確定後に一番良いのは、やはり直接強制で、保全処分決定後にすぐに書記官に連絡をし、家裁に申し立てをしてください(2020年3月までは保全執行は地裁執行官への直接申立てが可能でしたが、現在は家裁に対して申し立てて、家裁が執行官に命じます)。
これは事情等にもよるので、家裁に相談の上、実行してください。同じ執行官でも、経験がないと人身への執行に躊躇し、腰が引けてる方もいらっしゃいますので、その場合は弁護士から申し立てをしてください(弁護士を依頼している方はそのまますぐに先生に直接強制の申し立てを依頼してください)。
しかし、経験のない家裁の書記官や家事相談室は「2週間後の確定後しかできない」とか、「高裁確定後しかできない」と間違った説明をするケースがありますがそんなことはありません。当事務所の相談者さんもすでに実行済みです。
しかも、自分側の保全の執行自体は期限が2週間ですので、すぐに申し立てを行ってください(申し立てさえすぐに行えば、裁判所の執行許可が出るまでは2週間という期間に縛られることはありません。あとは裁判所側の手続きの問題です)。
もう一度言います。保全処分の決定後に、相手方の高裁への即時抗告を待つ必要はありません。すぐに引き渡しの要求、直接強制の申立てをしましょう。弁護士さんでも、このことを知らない方が大勢います。自分の弁護士さんに審判決定前にその方針を伝えておきましょう(しかし、これもケースバイケースで、直接強制がなじまないケースもありますので、弁護士や執行官と協議をしましょう)。
ちなみに、「保全処分」に相手方が応じない場合などに申し立てる措置の一つが直接強制というものであり、これが認められれば、家裁から執行官が相手方の家へ行き、子供を収容しますが、子の引き渡しの保全処分確定後には可能です。
執行官は対象が子どもであるということに配慮して、強引に収容を行わない方もいますし、カギ屋を呼んで玄関を開けてしまうケースもあります(執行官によって判断が異なるところですが、2013年以降はここまでやるのは難しくなっていましたが、2020年の改正民事執行法により、可能と解釈されています)。ただし、ここを読んでいる「連れ去った側の配偶者」に言っておきますが、玄関を開けなければよいとか、逃亡するということはムダですのでおやめ下さい。執行官にまでそのような抵抗を実行すれば、指名手配となり、いずれ「未成年者略取・誘拐罪」で逮捕され(留置場に入り、取り調べを受ける)、子どもは必ず収容されます(裁判所の保全処分に抵抗するのだから、悪質な人間と判断されるのは当然)。
「強制」の場合はまずは間接強制となることもあるのですが、保全処分決定後(2週間を待たず)にすぐ直接強制が可能ですので間接強制よりは直接強制が手っ取り早いです。
保全まで認められずに「審判決定」だけが認められた場合は、履行勧告後に直接強制に移ることが可能です(ただし、2週間以内に相手方も即時抗告をしてくると思われますので、高裁で争うことにはなります)。
間接強制は期限までに子供を引き渡さない場合は、「引渡しの日まで一定額の金員を支払え」という罰金の命令が出されるものです。この場合の金額は1日あたり3~10万円くらいの金額となるケースが多いです。
しかし、間接強制までに至るような相手方はこの段階でも引き渡しを拒むことがほとんどですので、やはり直接強制(もしくは人身保護請求)の必要性が出てくることがほとんどです。実際は、間接強制のことは一切考えなくてもよいというくらい直接強制だけが必要になります。
実務上、直接強制は幼児にしかできないという一説を唱える人もいますが、小学生でも執行したケースも多数あります。普通のことです。
ただし、残念なことに2013年より、執行官による直接強制は保育園敷地内や路上で行うことはできなくなり、基本的に自宅執行が基本となっていましたが、2020年から再び保育園などの「第三者の占有する場所での執行」もできるようになりました。2013年以前は執行官が依頼した鍵屋がマンションドアのチェーンロックを破壊して入室することも普通に行われていて、実に頼もしいものでしたが、子どもにとって乱暴に見える方法は子の精神状態によろしくないとしばらく禁じ手となっていました。
2023年現在、保育園や祖父母の家などの執行は占有者の許可が必要です。その許可が得られない場合は、家裁から占有者の同意に代わる許可を得る必要があります。「第三者の占有する場所での執行の許可の申立て」です。
審判や保全処分の決定後に相手方に抗告されたら(もしくは自分が抗告するには)
相手方が審判の決定に応じず高裁に即時抗告されれば、あなたも高裁の裁判で争うことになりますが、よほどのことがない限り原審が覆されることはないでしょう(ほとんどが棄却されています)。裁判とは言っても多くのケースでは書面の提出が1~2回あるくらいですから、そこは弁護士さんにお任せしましょう。
高裁で逆転する要素は、「新証拠」か、「調査官報告書の不備(明らかな調査不足での判断、恣意的な誤解などを立証)」でしか事実上戦えないです。
調査報告書に不備があるケースでは、高裁から指示され別の調査官が再調査をするケースもあります。
近年は家裁調査官が、高裁に不備を指摘されたくないと、調査を「形だけ」はしっかり実行するようになっていますが、そもそもこの調査が恣意的なことも多いです。家裁調査官の質が子どもの人生を左右する恐ろしい状況です!
即時抗告だけでは執行停止とはならないので、執行停止のためには保全処分の取消原因となることが明らかな事情(調査官調査の不備、新証拠など)か、保全処分の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることを、高裁に疎明(証明)しなくてはいけません。
高裁で確定すれば、これもまた当然すぐに引き取りに行ってください。そこでも引渡しに応じない場合は、「直接強制」か「人身保護請求」を行えば、手元に子供は戻ってきます。
高裁判決後に相手方が最高裁への特別抗告(許可抗告)をするのを待つ必要はありません(自分が最高裁に行う場合、特別抗告は5日間が期限。2週間ではありません!弁護士さんも気づいていないケースが多々ありますので先生に確認してください)。審判が確定していることから、その時点ですぐに引き渡し日の交渉、ダメならすぐに「直接強制」、そして「人身保護請求」をかけて取り戻すことです。
自分側の保全執行自体は保全命令が出されてから2週間以内に行わなければなりません。弁護士さんと執行官としっかり打ち合わせの上、的確な執行を実行してください。
保全処分決定後には、基本的にはすぐに執行官に対して、直接強制の申し立てを行ってみてください。
執行官費用は自分持ちですが、子供のためなら頑張るしかありません。なお、執行官費用は1人2万円ほどを、2~4人分必要になるイメージですが、当事務所では1人のケース、6人入ったケースも見ています。相手方の状況と執行官の考え方で必要人数や金額は変わります(実際は執行費用として諸費用込みで5万円くらいの支払いで済むことが多いかもしれません)。
人身保護請求とは
相手方が粗暴で子供の養育環境にも非常に問題がある虐待があると判断されるケースでは、審判などではなく、いきなり最終手段ともいえる人身保護法による「人身保護請求」を地裁に申し立てる方法があります(認められないケースもあるので通常の連れ去りでは審判の申し立てからですが、子供が虐待下にあるなどの理由があれば認められます)。
もちろん、子どもを連れ去られたあとの「子の引き渡しの保全処分」が認められたあとで、直接強制などにも応じないような夫に対しては、虐待の有無に限らず人身保護請求を実行するケースもあります。
弁護士ドットコムなどの弁護士さんの回答を見ると、「夫婦間ではできない」など、間違った回答をしているケースもかなり散見されます。弁護士が言うことが正しいとは限りません!気を付けましょう。
ただし、この申し立ては弁護士さんを依頼しなければなりません(人身保護法…弁護士強制主義。しかし、弁護士費用を捻出できない事情がある場合や期日までに引き受け弁護士を見つけることができなかった場合は裁判所の許可により、弁護士がいない状態でも実行できます。国選代理人は法テラスの法律扶助を受けることも可能)。
すぐに弁護士さんをお願いして、不当に子供を連れ去り、面会もさせず、軟禁状態になる子供を救うとして、人身保護請求をかけましょう。これは疎明書の添付により行われます。申し立て先は家裁ではなく、管轄の地裁か高裁となります。
申し立てから1週間以内に審問期日が決定され、審問終了から5日以内に判断が下されるのが基本的な流れです。
裁判所より、国選代理人が雇われ(非拘束者の弁護人という性格)、その弁護人が非拘束者(子ども)と双方の状況を確認し、裁判所に報告書を提出したり、場合によっては連れ去った夫を説得することもあります(国選費用は申立人持ちになります。その予納金として、20万円~30万円くらいかかります。この他に審判と同様に予納切手も必要ですし、収入印紙も子1人につき2000円が必要です)。
この判決により、子供を拘束している親に対して、子供を指定の期日に家裁・地裁に連れて来るように命令することができます。その命令に従わない場合は、拘束者を拘引して、命令に従うまで勾留することもできます。
●手続きの流れ●
1.人身保護請求の申し立て(人身保護請求書、疎明書など)
2.準備調査期日(出頭~審尋の場合も)
3.審問期日指定(申し立てから1週間以内)
4.審問日の審理(答弁書の陳述~口頭反論)
5.判決の言い渡し(最終審問から5日以内)~人身保護命令書の送達
※判決の言い渡し日に子どもを出頭させないケースでは、勧告がなされますが、それでも無視するケースでは2年以下の懲役または5万円以下の罰金となります。しかし、それにも応じない場合は勾留を求めてください。
もしくは再度の直接強制を実行し、ここで「未成年者略取」と「人身保護法違反(保護法違反で立件するのは珍しいことですが)」が成立する形になるので警察官を伴って子どもの受け渡しを実行してください。
ただ、審判をせずにいきなりの人身保護請求というのは判例上簡単にできるわけではなく、子供がかなりの虐待にあっているとか、育児放棄(ネグレクト)の状態にあるとか、危険な状況の時で、しかも他の解決方法がない場合・それは、拘束がその権限なしにされ、または法令の定める方式もしくは手続に著しく違反していることが顕著である場合(高裁判決後など)…にしか認められないので、基本的には「子の引き渡し審判と保全処分」が無視された場合に申し立てることが多いです。
もちろん、連れ去りがあった直後にいきなり人身保護請求を申し立てるケースも結構ありますが、かなり粗暴なケースではないと逆に認められないこともあるので、多くの場合は審判と保全からとなります。
◆人身保護請求の判断基準◆
1. 子の身体の自由が拘束されている状況であること。
2. 拘束が法律上正当な手続きによらないで行われていること。
3. 上記拘束の違法性が顕著であること(手続きに反していること)。
4. 他に救済の目的を達するのに適当な方法があるときに、その方法によって相当の期間内に救済の目的が達せられないことが明白である状況であること。
となっています。
のんびり調停をやってから、この「人身保護請求」を申し立てても、緊急性がないという理由で認められません(最高裁判例による)。今までのんびり月1回調停をやってから、緊急性と主張しても根拠が弱くなってしまいますので、弁護士の先生と事前にしっかり作戦を練る必要があります。
審判と保全からであれば、そののち人身保護請求ができます。調停からやってしまうと保全や人身保護は不可能に等しいです。ですから、弊社では調停からやることをお勧めしていませんが、状況によっては子の引き渡しの調停からやることもありますし、審判を申し立てても付調停となる場合もありますので、審判が絶対ということではありません。しかし、ほとんどのケースで審判が必要になりますので、調停という考えは捨てた方が良いです。
弁護士の先生でも、知識や経験がないと「監護者指定の審判」と「引渡し仮処分」を大至急申し立てる方法などを知らずに、離婚調停をやるように説明する先生もいらっしゃいます。このあたりのことを事前にしっかり聞かないと失敗します。
くれぐれも知識のない弁護士のアドバイスを信じてしまい、離婚調停を先に申し立てるようなことがないように気をつけてください。
まれに直接強制と人身保護請求の2つを重ねて無視して、子供をかたくなに引き渡さない夫もいますが、そうなれば再度の直接強制を行い、その場合は警察署に要請し、「未成年者略取」ということで警官を伴い執行することもできます。引き渡しを拒否すれば、逮捕ですし、結局は引き渡しに応じるしか方法はありません。的確な執行を行っていけば違法な連れ去りを行った配偶者が最後まで逃げ切ることはほぼ不可能です。
判決言い渡し日に出頭しないケースも多いですが、その場合も裁判所による勧告がありますし、請求認容判決に従わない場合は2年以下の懲役または5万円以下の罰金という罰則が科されます。その上で、再度の直接強制が可能ですので、そこで「未成年者略取」による逮捕も控えています。実の親だからといって逮捕されないということはありません。
申し立て時の注意点(家裁と弁護士の対応)
皆さんが家裁に、申し立てや相談に行った時に、書記官さんや事務官さんに「子の引き渡し審判と保全処分は緊急性が高くないとできないので難しい」とか、「審判は受理するが、保全は虐待などがないとできないから受理できない」や、「弁護士からの申し立てが必要だ」と説明を受けるケースが少なくありません。
しかし、それは正しい説明ではありません。連れ去り自体が緊急性と解釈され、その申し立てを審理するのは裁判官であり、そして調査を行うのは調査官であり、最初に対応してくれる窓口の書記官や事務官が決めるのではありません。弁護士が必要なのも「人身保護請求」だけであり、その他は自分でもできます。
最近は、裁判所のウェブサイトにも「子の引渡しの調停」に関する申し立て書類のダウンロードが用意されていますので、突き返そうとする書記官はいなくなりました。
法律事務所で弁護士さんに相談をしても、「緊急性がないから難しい」とか、「審判はできても、保全処分までは難しい」、「今から相手の家に行って子供を無理やり連れ帰りなさい」、「離婚調停を申し立てなさい」と言う先生も、経験と知識がないだけです。相談するだけ時間のムダです。
残念ながら、こういった先生の言葉を真に受けて、申し立てをしないことの方が問題です(もちろんケースバイケースで、申し立てが向いていないケースもありますが)。
こういったケースでは、違う先生に相談をしましょう。事前の電話で「子の引き渡し審判と保全処分について相談をしたいんです」と伝えましょう。理解している先生は相談にのってもらえます。対応できない先生は断ってきます(子の引き渡し審判と保全処分を知らない先生も少なくありません)。
近年は日本全国で年間1000件以上の「子の引き渡し調停・審判」が申し立てられ、その中で「保全処分」も合わせて申し立てられるのは500件を超えていると言われています。
家裁の書記官や弁護士の先生がいくら「申し立てが難しい」と言っても、実際に実行している方はこれだけいらっしゃいます。経験のある書記官や弁護士さんは、当社も推奨する上記の手法をしっかり理解されています。
1人の先生に相談をして「難しい」と言われても、デキる先生は違う回答をされますので、諦めずに他の先生を当たりましょう。
男性のケースでは、今まで子育ての手伝いも積極的にやってもいなかったのに、報復的に申し立てようとする人は審判でどんな嘘をついても、家裁にすぐに見破られ、審判や保全の決定を受けられません。
暴力夫、モラハラ夫、隠している前科のある夫、無職の夫ほど妻に執着して申し立てる傾向にあるのですが、そういう夫は早めにあきらめてください(自分がモラハラ行為を行っていた自覚がない男性がよく見受けられます)。家裁は調査を行います。
そして、浮気を隠して子どもを連れて浮気相手の居住地に逃亡している女性(このタイプがでっち上げDVを言い出す)もあきらめてください。
監護・親権の問題はスピードが命です
不当な方法でなければ、子供をあなた自身が奪還することしか方法はない場合もありますが、自力救済は相手方と同じことをすることになるので基本的にはやってはいけません。相手方と同じように乱暴に連れ出せばあなたもまた不利となります(ちなみに当事務所では有利になるとか、不利になるとか、そういう狭量な思考は好きではありません。家裁はトータルで子の福祉を考えてくれますので、有利や不利という一般人のセコい技術論は実につまらない考え方ですので、ご注意を)。
まずは、家裁にすぐに審判の申し立てを!早く行動することが決め手となります。来週あたりにでもやろうと思う人は勝てません。
子の連れ去りの相談に関しては、個々の状況や各地方の家裁調査官の判断状況、判事の状況、熱意ある弁護士の存在などのファクターが大きな違いとなるので、一概に判断できませんので、上記解説も場合によっては全く適用されない人もいれば、適用される方もいますのでご注意を。弊社の経験に基づいた解説です。審判や仮処分で勝てるかは本当にわずかな事情の違いで、非常に微妙な差です。
裁判官の中にも明らかに偏った女性寄り、男性寄りの思想の方もそれぞれいて、実情にそぐわないとんでもない決定が出ることもあります。これは運・不運としか言いようがないケースです。
即時抗告などには新しい証拠が必要になるので、探偵社などを利用して証拠収集を行うことも少なからずあります。その場合は、高額料金ぼったくりの悪徳業者に引っかからないようにお気をつけください。探偵社の8割は依頼してはいけない会社です。
もしも、配偶者の浮気が「子どもの連れ去り」の背景にあるのであれば、しっかり証拠をつかんで、子どもの連れ去りが生じている本当の事情を家裁に説明しましょう。
東京で浮気調査を依頼したいという方には、東京の優良調査会社を紹介できます。その場合のみご連絡ください。このページのトップに書いている通り、子の引渡し自体の相談には応じていません。
【まとめ】
. 離婚前に子供を連れ去られた場合
調停で話し合ってもどうしようもないくらい相手方が強引でまともではないと判断される場合は、調停などやってられませんから、危険性を訴えて、調停からではなく、すぐに審判と仮処分を申し立ててください。
「子の監護権者の指定」と、「子の引渡し」の2つの審判と、「審判前の保全処分(子の引渡し仮処分)」です。
弁護士がいればベストですが、まだ見つけていないときは、大至急自分で上記3つの審判と仮処分の申し立てをしておいて、1~2週間程度で良い先生を見つけましょう!とにかく申し立ては1時間でも早い方がいいです。弁護士選びも妥協せずに知識があり、意欲的な先生を選びましょう。
弁護士の能力差は私たちが想像する以上にすごく大きいです。弁護士でも全く知識のない先生もいますので要注意(良い先生が見つからない場合はご自分でされても大丈夫です)。
弁護士はネットで探すのは難しいと思いますが、各都道府県の弁護士会や各地域の法テラスを利用するという手もあります。費用がない方は法テラスの法律扶助を受けることにより、月1万円程度の分割払いが可能です(ただし、法テラス所属弁護士では良い先生が少ないです。法テラス所属ではなく、法テラスで紹介を受ける弁護士は法テラスの先生ではありません)。
一番は「子の引き渡し審判と保全処分をしたい」と直接、法律事務所さんに電話をすることです。そうすると、知識のない事務所と知識のある事務所の対応差がすぐにわかると思います。
申し立てから1週間以内に家裁から連絡があり、申し立てから2週間後くらいにまずは「仮処分」についての審問(審尋)が始まります。この審問も、各家裁(各担当判事)の考え方とその夫婦の状況によっては、2週間程度で仮処分や審判決定が認められるケースもあれば、半年も審問が続くケースもありますので、期間は誰にもわからないといった感じです。
個々の状況しだいですが、担当となる裁判官個人と家裁調査官の資質がかなり影響しますし、当然のことながらご夫婦のいさかいの度合いによっては調査が長引くということです。良い解決のためには早い決定が望ましいという単純なことではありません。あとは調査官にお任せしましょう。
. 離婚後の引き渡し・親権者変更の場合
離婚後の連れ去りのケースでも、上記のように「引渡しの審判」や「監護者の指定の審判」、「保全処分」を申し立てます。監護者であったが親権者は相手方であったという場合には「監護者指定の審判」ではなく、「親権者変更の審判」を合わせて申し立てます。
連れ去りであれば、離婚後は未成年者略取で逮捕されているケースも少なくありませんが、警察署によっては「離婚後とはいえ実父だから、未成年者略取での逮捕はできない」という対応の警察も多いです。しかし、一方で逮捕しているケースも最近は増えています。
ただ、連れ去りではなくても、離婚後に親権者側の子どもの虐待やかなり不適切な監護状況が判明すれば、上記審判以外にも大至急「親権者変更の審判」も合わせて申し立てなければなりません。
子供の虐待などがある場合は審判から申し立てることも可能ですが、普通に親権者変更を求める場合は調停からです。ちなみに親権者変更の審判から申し立てをしても、家裁の判断で調停からやるように変更されることもあります(付調停[ふちょうてい]という)。
離婚後に虐待が発覚した場合は、「親権者変更の審判」と「監護者の指定の審判」、「保全処分」、そして、加えて、保全処分の一環として「親権者の職務執行停止」、「職務代行者選任の審判前の保全処分」も申し立てるという少し複雑な方法もあります。
連れ去られた場合でも話し合いができそうなケースは「子の引き渡しの調停」から申し立てる方法があるのですが、連れ去るような相手方とはほぼ話し合いができませんので、時間のムダですから、もし調停を申し立ててしまっても、すぐに「子の引き渡しの審判)」に切り替えてもらうようにお願いしましょう。主張が認められれば、審判に移行します。子供の虐待などがあるケースでは、調停ではなく、審判から申し立ててください。
ただし、親権者変更が難しそうなケースでは、「監護者指定の審判のみ」を申し立てるという方法もあります。「子の引き渡し」と「監護者指定」に手馴れた弁護士さんに相談の上、方針を決定してください。
離婚後に突然、元夫が子供を連れ去ったものは事件性が高いので、いきなり「人身保護請求」の申し立てから始めるということもできます。これはご自分の弁護士さんの考え方や経験によっても対応が異なってくるので、よく相談を上実行してください。
面会交流中などに子供を返してくれなくなった場合は、人身保護請求か、子の引き渡し審判と保全処分か、どちらがいいのかという質問も寄せられますが、これもケースバイケースという感じです。
審判と即時抗告についての解説(補足)
審判では、家裁調査官が自宅の状況や監護補助者の状況、保育所の先生への聴取などを行い、事実関係を確認し、判事に調査書を提出し、判事から審判決定が出されます。
審判で子の引渡しが一旦確定したのに、相手方が引き渡しを拒否する場合は、直接強制を申し立て、それでもダメなら「人身保護請求」の申し立てを行い、引渡しを強要しましょう。
審判決定であなたが勝っても、決定に納得がいかない相手方が高裁に不服申し立て(抗告)をすることにより、事実上停止してしまう形になりますから(法的には停止ということではないので、保全処分の執行が可能)、すかさずの直接強制などを実行しなければなりません(相手方の即時抗告申し立て期間は2週間以内。だいたい、嫌がらせ的にギリギリに申し立ててくる)。
審判決定後にすぐに間接強制や直接強制などの手段を取る必要があります。そのために事前に上記の「審判前の保全処分」も同時に申し立てるわけですが、直接強制がなじまないケースもあるので、その場合は「間接強制」などの申し立てを行いましょう。
逆に、審判決定であなたの主張が認められなかった場合は、2週間以内に高裁に不服申し立て(即時抗告)を行わなければなりません。基本的に原審が覆されるケースは少ないので厳しいです(新証拠や調査官調査の不備を突くしかない)。高裁でダメなら最高裁ですが、最高裁は憲法違反などを理由に扱うのでまず無理でしょう。突破口はあるにはあるのですが、厳しいです。ですので、ぜひ審判で勝ち取ってください。
離婚後に子どもを連れ去られた場合は、親権者による連れ出しではないので、すぐに警察に電話をしてください。それでも、警官に「民事不介入だから」と言われて帰られるかもしれませんが、その上で上記の法的措置を取り、強制執行や人身保護請求の申し立てをも拒否して子どもを引き渡さないケースまで進むと、未成年者略取で警察による逮捕を求めることもできます(刑事告訴が可能)。
どうか、この情報ページがあなたとお子さんの未来のためになりますように
なお、こういった事例の反対側である、嫌がらせ的に子の連れ去りを計画している人はこれを逆実行しても、何の意味もありません。直接強制などを拒んでも、最終的には親権者であろうと未成年者略取での逮捕が待っていますからね。
不法行為者や、子への真の愛情がない者には応援の風は吹きません。そんなことをしても、それがお子さんのためになっていますか?お子さんの幸せとはなんですか?もう一度考えてみてください。自分の意地と未来ある子供の幸せはどちらが大事ですか?
「子の引渡し」は、自分の真の生き様や子どもへの本気の愛情だけが問われるのです。
あなたと相手方はどちらが本当に子供のためになりますか。どちらが子どもを愛していますか。
家裁はそこを見ているのです。
小ざかしい戦術やネットに出回っている間違った情報に踊らされないようにしてください(しかも、親権について活動している某団体を始め、他社の探偵社、はてはいくつかの法律事務所・行政書士事務所までがこのコンテンツの文章を丸々パクって公開しています。当事務所が2003年頃からこの手法を一般に広め始めた元祖なのですが…この手法が広まることは悪いことではないので目をつぶっていますけど、文章までパクるのはいかがなものかと思います。当事者として死にもの狂いでやってきたことをネット検索で見て安易にパクって吹聴しているのは気になります。記録は全て保存していますが)。
戦術も戦略も言い訳も必要ありません。子どもへのいつもの愛情の差なのです。
男性だから難しいと言われたのは数年前までです。適切な申し立て方法や今までの子育てがしっかりしている場合は男女差というものはあまり関係ありません。要はやる気と愛情の問題です。
男性陣は「家裁は女性有利だ」とネットで罵詈雑言を吐く暇があるならしっかり対処することです(実際に多くの男性も親権を取れています。文句を並べている男性はその程度の人ということです。ツイッター等で女性にケンカを売ってる男性もたくさんいますが恥を知れと思います)。
女性は女性で、「夫に親権を取られる…」とむだに恐れずに、きちんと正しい主張をしていきましょう。
家裁でハズレの担当に当たったら、男女や正しいとか虚偽ということは関係なく、ひどい結果に終わるケースも多数ありますが、それを含めても人生です。そこからどうリカバリーしていくかを真剣に考えていきましょう。
家裁の裁判官がハズレの人だったために、モラハラ夫に子どもを連れていかれ、家裁でも引渡しが認められない女性もたくさんいます。理不尽な決定はたくさんあります。
でも、あまり不安に思わないでください。子どもへの愛情があれば全てを打開できます。どうかお子さんのために頑張ってください。
もし、子どもを取り戻せなかったとしても、面会交流を続け、子どもとの縁を切らさないように努力をしてください。
離れてからの面交はもっとつらいです。会えない状況の今以上につらいのです。連れ去られたこと以上に、面交というものは愛情があるだけにつらいです。人生でこの「連れ去られた上、審判で奪還できなかった」ケースの面交ほどつらいことはないかもしれません。
それでも、勇気を振り絞って面交を続けてください。試練に耐えましょう。みんな頑張っています。
あなたが真の愛情を持つ人であれば、いつか、いつの日にか小さな奇跡が起きると思います。
「見せかけだけの愛情」や「元妻への報復」、「元妻への執着心」などは通用しません。「子どもへの本当の愛」があれば、離れていても絶対に心が離れることはありません。
「そのこと」の意味を、この問題の当事者でもある私たちが一番よく知っています。
日本中でほとんど誰にも知られていなかったこの手法や離婚にまつわる対応方法を広めるために、2003年私たちは調査会社という形で起業し、情報公開を始めました(調査会社を始めたくて起業したのではありません。親権問題、離婚問題、子どもの連れ去り問題、浮気問題をダイレクトに扱うために男女スタッフ4人で探偵事務所という形の起業をしました)。
当初から今も、私たち(当事務所)は当事者さんに中傷を受けることがあります。男性には「お前は女性の味方か!」と言われることがあります。男女関係なく書いているのに、このページを読んでどうしたらそう思うのか理解不能です。電話やツイッターで暴言を吐くくらいなんだからそういう男性は日頃も妻への態度が悪かったと思います。自分がしてしまったことを認めることからしか対話はできません。家裁や相手方弁護士を恨んでも始まりません。
暴力やモラハラから逃れるために子どもを連れて家を出なければいけない人もいます(正当性はあると思います。しっかり対応しましょう)。
逆にモラハラ夫が報復で子の引渡しを申し立ててくるケースも多々あります(リーガルハラスメントです。女性陣は受けて立ちましょう)。
自分の不倫や児童虐待を追及されて子どもを人質に家出する女性もいます(連れ去られた夫は申し立てをしましょう)。
あなたがどんな立場かはわかりませんが、子どもがいなくなって「本当に」困っている方がいるんです。この手法が必要になる方がたくさんいるんです。
男性とか女性とか一人の子どもの前では関係ありません。そこにあるのは「子への愛情」や「養育の意志」だけです。DVやモラハラなんてしていない、とか、浮気していないとか、嘘で争っても意味がないでしょう。そうではありませんか?
当事務所が推し進めてきた「子の引渡しと保全処分、監護者指定」という複合技は、2003~2010年頃まで全国の家裁に「この申し立ては不可能だ」と受け取りを拒否されるという事態が多数ありましたが(すぐに受け取ってくれた家裁もありましたが)、全国の子どもを連れ去られた方々と必死に申し立て書を自作し提出を重ねました。「他の家裁では受け付けています。確認してください」と無理やり書記官に受け取りをさせてきました。書記官ですらその意味がわからず、受け取ってもらうための説明をしなければならない、そんな恐ろしい時代が数年前まであったのです。
家裁も変わってきました。まだまだ古い感覚のままだったり、恣意的な調停委員や調査官、裁判官もたくさんいますが、それでも以前の姿を知っている私たちから見ると、家裁そのものは少しずつ変わってきました。
親権や面会交流を巡る諸問題も変化を迎えています。
社会を変化させるのは誰か他人ではなく、誰にでも、自分でもできることだと思います。可能であれば皆さんも、より良い社会のために何かできることを。それが小さな一歩でもいつか誰かの大きな一歩に繋がるかもしれません。
「子の引渡し請求」は、あなた自身の「心」が問われるシンプルな審判です。